国際PR会議 ナイロビ報告

2009.07.18 (土曜日)

7月8日から10日まで開催された国際PR会議に、ナイロビまで出かけました。

会議のメインテーマは「経済危機におけるパブリックリレーションズの役割」というもので、私がプレゼンテーションを依頼されたのは、メインテーマに ついて、アジアからの視点でコメントすること、および、「日本企業のインターナルコミュニケーション」と、「カントリーブランデイングー日本の場合」 と いう3つの分科会です。

アフリカというと、サッカーのワールドカップが南アフリカで開催されるという情報はありますが、一般的に、HIVとか、内乱、貧困、といった暗いイ メージがあります。 しかし、未来を担う国々で参加者は熱心で活発でした。今回参加者には、昨年横浜市で開催された、アフリカ開発会議に参加して日本に来 たことがある、という人たちが何人もいました。 名刺をみると、ガンビア財務省とか、ケニア高等教育機関、ウガンダ、ナイジェリア、スーダンなどの、役所 や銀行家が多かったのですが、彼らの日本に関する知識は相当なもので、「横浜のアフリカ開発会議の時は、福田首相だったが、今度の麻生首相もかわるのです か?」などと聞かれました。 女性参加者も多く、アフリカ諸国の共通語は英語で、彼らは子供時からバイリンガルですから、語彙は豊富で、早口です。

講演やパネル参加者は、イギリス、オーストラリア、オランダから5-6名、アジアはインドネシアと日本からでした。 ケニアのPR専門家や学者、大 新聞の編集局長も講演し、アフリカのメデイア事情も、参考になりました。 特に、報道における倫理観や透明性に関しては、きちっとした理念があるようで す。

質疑応答が活発だったのは、「カントリーブランデイング」つまり、国のイメージをどう発信するかというセッションでした。 日本はフジヤマ、ゲイ シャ、トヨタ ソニー アニメなど色々なイメージを海外でもたれているわけです。 では、日本の顔は何か、日本をどのようなイメージで情報発信するのか、 というと、日本人がよくわかっていないのも事実です。

ただ、2008年の読売新聞の調査、「日本人として誇りに思うか」という質問に、誇りに思うと回答した人が93%に及んだそうですから、それは歴史、文化、国民性、などに対して愛着があるととらえられるでしょう。

ただし、日本人が誇りに思うものを単純に情報発信してもブランデイングにはなりません。  アジアの国々で、観光客誘致を図る場合は、ホスピタリテ イーに満ちた国民である、文化遺産が豊富、風景が美しいなどと発信します。 一方、海外からの投資や企業誘致をする場合は、全く異なったメッセ―ジを送る わけですから、アフリカ諸国が、誰に何を求めるか、で国のブランデイングは変わってきます。

日本の場合は、第二次世界大戦後に製造業と輸出で経済発展をしてきましたが、欧米先進国は、製造業も農業も大切にし、そして観光を産業として育成して外国訪問客による経済収入を得てきました。

日本も遅ればせながら、それに気づき、観光により外国人訪問者の増大という目標をかかげて、努力した結果、海外からの観光客が増えて日本のイメージ も上がってきている事実がある。 ただ、アフリカの場合、観光客誘致を目的とする場合は、治安やインフラ整備などの充実が優先する、そして一般観光客を期 待するのか、冒険旅行やスポーツ愛好家をターゲットにするのかで、戦略もかわる、ブランデイングはロゴマークをつくることでも、ポスターをつくることでも 無いので間違えないように、と説明しました。

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